日本経済どうすれば回復?熊谷内閣官房参与に聞く(2020年12月21日)
- 2020.12.24
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新型コロナウイルスの影響で、さまざまな仕事に就いている人が影響を受けています。日本の経済は、どうすれば回復するのでしょうか。大和総研のチーフエコノミスト・熊谷亮丸さんに聞きます。 熊谷さんは、経済・金融について助言などを行う内閣官房参与でもあり、菅総理と月に1回ほど会っています。 (Q.どのようなやり取りをするのでしょうか) 50分から1時間くらい、私のほうから足元の経済状況とか、こういう政策を打ったらいいのではないかなど伝え、最後は総理が決断します。 21日に閣議決定された来年度予算案は、今年度第3次補正予算案と合わせ、政府は“15カ月予算”と位置付けて、コロナ対策を強化しています。 すでに『GoToトラベル』や、雇用調整助成金の特例措置などが延長され、持続化給付金や家賃支援給付金は、1月までで申請期間が終了します。 (Q.支援策は、これで十分なのでしょうか) かなり経済効果はあって、例えばGoToトラベルは約1.4兆円の予算で、3.6倍くらいの約4.9兆円の効果があって、雇用では約46万人。雇用調整助成金は、毎月約33万円をサポートする。従来は派遣、週20時間未満の労働の方は入っていませんでしたが、そこについても33万円をやっていく。緊急小口資金、最大22万円は年度末まで延長します。総じてみれば、手厚く手を打っています。 (Q.数カ月、GoToトラベルを停止して、感染が落ち着いてから再開では、ダメなのでしょうか) 政権がやろうとしているのが、社会・経済活動の持続性と感染防止の両立ですが、今は感染が拡大しているので、感染を防止するということにウェイトを置くことが必要である。ただ、いろいろな議論があるかと思いますが、GoToトラベルによって感染が拡大したというエビデンスがないと思っています。韓国やドイツなどのデータを見ても、感染者数は日本と同じ動きをしている。今回、止めたのは、国民に対するアナウンスメント効果。政府の姿勢を示す国民へのメッセージだった。また、予防的な観点から止めたと。今後は、感染の状況を見極めながら、いつ再開するか、慎重に探っていくという状況です。 (Q.GoToトラベルは、恩恵を受ける人は限られています。ほかの新たな対策について熊谷さんのアイデアは何でしょうか) 今は、医療を支えるということが最大の経済対策。今回5兆円くらいの予算で手当てするということで、例えば病床の確保など、手厚くやることが喫緊の課題です。GoToに関しては、感染リスクのない飲食店のデリバリーなどにポイントをつけることも考えられます。トラベルについても、もう少し、感染が落ち着いたとき、例えば、PCR検査とセットにするとか、従来以上に感染防止対策を強化して、安全なトラベルをやっていくなどが考えられます。 (Q.収入が減ったり、仕事を失った人への支援するスピード感が遅いという声もありますが、支援はどうなっていますか) IT化が進んでいればスピーディーにできますが、日本は諸外国の中で圧倒的に給付金のスピードが遅い。IT化が進んでいないから、国民の所得のリアルタイムで把握できない。そのため、本当に困っている人が特定できない。ここは将来の課題として、解決していきます。 大和総研では、ワクチンが普及した場合は急速に回復していくなど、3つのシナリオを想定しています。 (Q.来年以降の日本経済は、何がポイントになりますか) 結局、ワクチンや感染状況次第というのがあります。中長期的で見ると、菅政権は“グリーン化”と“デジタル化”の2本柱に据えて、成長戦略を打っています。グリーンな社会をどんどん作っていけば、私の計算だと、2040年にかけて240兆円の環境投資が出てきます。これは、毎年、GDP=国内総生産を1.2%ずつ押し上げる。例えば一人あたりのGDPが今、420万円くらいですから、これが毎年、5万円くらい上がるくらいの効果がある。デジタル化ですが、これをしっかりやって効率がよくなると、毎年、GDPが1.1%くらい伸びるわけですから、このグリーンとデジタルを2本柱として、成長戦略を打つことです。 ... Read More | Share it now!