「PCR検査は、ウイルス検査に使えない」マリス博士の真意とは

「PCR検査は、ウイルス検査に使えない」マリス博士の真意とは

PCR検査は、遺伝子の断片を見るものであり、ウイルス検査には向いていません。また、病原体を検査する方法でもありません。PCRの発明者、キャリーマリスは、「PCRは、感染症の診断に使ってはならない」という趣旨の発言をしたと言われています。実際には、キャリーマリスの発言は、「HIVウイルス数をPCRで測定することはできない」というのが正しいようです。
 いくつかのPCRの中でも、リアルタイムPCRは、DNAの合成をリアルタイムで追いかけることが出来るために、何回目のサイクルでDNA合成が確認できたかというCt値によって、サンプル中の遺伝子のコピー数がある程度推定できます。現在行われているPCR検査は、リアルタイムPCRで行われている場合が多いようです。感染研のPCRマニュアルや、市販のPCRキットにもリアルタイムPCR対応になっています。前述の「ウイルス数をPCR法で測定できない」とは、一体どういう意味でしょうか。
 ウイルスは変異が起こることが知られています。特にRNAウイルスは、変異が起こりやすいのです。遺伝子の変異の中でも、最も起こりやすい塩基のの置換という変異について考えてみます。、塩基の置換にも、大きく分けてたんぱく質の変異に影響しない置換(同義置換)とたんぱく質の変異に影響する置換(非同義置換)があります。同義置換は、非同義置換に比べて圧倒的に頻度が高い変異です。また、塩基置換以外の変異は、塩基置換の頻度に比べて大変少ないのです。そのために、遺伝子変異の大部分は、たんぱく質の変異に影響しない、同義置換になります。
 同義置換であっても、PCRのプライマーの結合性には、大きな影響が出ます。プライマーの結合部位における同義置換の変異によってPCRによる遺伝子増幅が起こらなくなるのです。そのために、この部位に変異のあるウイルスは、カウントされません。未知のサンプルの場合、変異体の種類、変異体の割合などが不明です。したがって、このようなサンプルを使って、ウイルス数をPCR検査により測定することはできないわけです。病原体の検査には、もちろん使うことはできません。キャリーマリスの発言は、その理由が省略されているためか、その真意を十分に理解されていないようです。このことを理解しないまま、PCR検査を広げることは無意味なだけでなく、危険なことだと言えるでしょう。

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